コラム
便潜血陽性を放置していませんか?大腸カメラは「いつまでに」受けるべきか
「便潜血陽性の通知をもらったまま、気づけば数ヶ月経ってしまった」――そんな方は少なくありません。実際、便潜血が陽性になった人のうち、およそ3割は精密検査を受けないままという調査結果が国の集計(地域保健・健康増進事業報告)で繰り返し示されています。この記事では、「いつまでに受けるべきか」の実務的な目安と、先延ばしで何が変わってしまうのかを、公表されている数字で具体的にご説明します。
大腸がんは「罹患数が最も多いがん」――それでも早期なら治りやすい
国立がん研究センターの全国統計では、大腸がんは日本で年間およそ15万人が新たに診断される、罹患数第1位のがんです。死亡数でも年間約5万人と上位にあり、特に女性ではがんによる死亡原因の第1位が大腸がんです。罹患は40代から増え始め、年齢とともに上がっていきます。
これほど多いがんでありながら、早期の大腸がんは血便・腹痛などの自覚症状をほとんど出しません。症状が出てから見つかる頃には進行していることが多く、無症状のうちに拾い上げられる入口は、事実上、検診の便潜血検査だけです。あなたの手元にある「陽性」の通知は、その貴重な入口が開いた状態だといえます。
目安は「3ヶ月以内」。多くの自治体・検診機関がすすめる期限
便潜血陽性後の精密検査に法律上の期限はありませんが、多くの自治体や検診機関は「結果を受け取ってから、おおむね3ヶ月以内」の精密検査受診をすすめています。がん検診は「検診で拾い上げ→精密検査で確定」までがワンセットで、精密検査を受けて初めて検診の意味が完結するためです。
そして避けていただきたいのが「来年の健診でもう一度便潜血を受けて考える」という判断です。出血は出たり出なかったりするため、翌年の検査が陰性でも「病変がない」ことにはなりません。一度出た「陽性」という事実は、大腸カメラで確かめるまで消えないのです。
陽性の人を実際に調べると、何がどのくらい見つかるのか
「どうせ何もないだろう」と思うかもしれません。実際の内訳の目安は次の通りです。
| 精密検査でわかること | おおよその割合 |
| 大腸がん | 陽性者の約2〜4%(30〜50人に1人) |
| 大腸ポリープ(腺腫など) | 陽性者の約30〜40% |
| 痔・炎症・異常なし など | 残りの多く |
※日本消化器がん検診学会等が公表している検診集計に基づく一般的な目安です。
ポイントは2つあります。ひとつは、大半は「がんではない」ということ。検査を受ければ、多くの方は不安から解放されます。もうひとつは、3人に1人程度の割合でポリープが見つかること。腺腫というタイプのポリープは、数年をかけて一部ががんへ進行することが知られており、がんになる前に切除できるのは「陽性を機に検査を受けた人だけ」です。
「早く見つかる」と「遅れて見つかる」の差は、治療の重さの差
国立がん研究センターの公表統計では、大腸がんの5年相対生存率は、早期(ステージI)では9割を超えるのに対し、遠隔転移のある段階(ステージIV)では2割程度まで下がります。さらに、ごく早期であれば開腹手術ではなく内視鏡での切除だけで治療が完了することも珍しくありません。
便潜血陽性の時点では、ご自身がどの段階にいるのかは誰にもわかりません。確かなのは、検査を先に延ばしても病変は軽くならないということだけです。数ヶ月〜数年放置してしまった方も、「思い立った今日」が残された選択肢の中でいちばん早いタイミングです。
ポリープ切除は「将来のがんの予防」でもある
大腸がんの多くは、正常な粘膜からいきなり発生するのではなく、腺腫という良性のポリープが5〜10年ほどかけてがんへ育つ「腺腫—がん連関」と呼ばれる経路をたどることが知られています。つまり便潜血陽性をきっかけに腺腫の段階で切除できれば、それは「今のがんを見つける」だけでなく「数年後のがんを未然に断つ」ことを意味します。
実際、米国の大規模研究(National Polyp Study)では、大腸内視鏡で腺腫を切除した人はその後の大腸がん発生が大きく減ることが示されました。「3ヶ月以内に精密検査を」という目安には、発見だけでなく予防のチャンスを逃さないという意味も含まれています。
今から予約する場合の流れ
- WEB予約またはお電話:24時間WEB予約に対応しています。
- 事前診察:健診結果とお薬を確認し、検査日を決めます(検査日の3日前までにご来院ください)。
- 検査当日:下剤で腸をきれいにしてから大腸カメラ。静脈内鎮静法(うとうと麻酔)にも対応しています。
- 結果説明:検査当日にご説明。ポリープはその場で日帰り切除できる場合があります。
土曜・日曜午前(完全予約制)の大腸カメラにも対応しているため、平日にお休みが取りにくい方もご相談ください。検査への不安が強い方は大腸カメラが「怖い」「忙しくて行けない」方へもご覧ください。
受診から結果説明までの流れ、費用、当院の体制については、便潜血検査で陽性と言われた方へをご覧ください。
費用の目安(3割負担)
| 検査内容 | 3割負担の目安 |
| 大腸カメラ(観察のみ) | 約6,000円 |
| 大腸カメラ+ポリープ切除 | 約15,000円〜 |
| 組織検査(生検)追加時 | 約4,500円〜 |
費用の詳細や高額療養費制度については大腸カメラの費用をご覧ください。
よくあるご質問
Q. 陽性から半年以上経っています。もう手遅れですか?
手遅れと決めつける必要はありません。上の統計の通り、陽性者の大半はがん以外が原因です。大切なのは「これ以上延ばさないこと」。今の状態を確かめるために、早めの受診をおすすめします。
Q. その後症状がないので、治ったのではないですか?
大腸のポリープや早期のがんは、何年も症状を出さないことが普通です。「症状がない=何もない」とは言えず、陽性という事実は調べて確かめるまで残ります。
Q. まず相談だけでもいいですか?
もちろんです。健診の結果票をお持ちのうえご来院ください。検査の内容や日程、費用のご不明点を診察でご説明します。当院(横浜市南区・吉野町駅すぐ)は事前診察から検査まで院内で完結します。