コラム

胃カメラ検査

機能性ディスペプシアとは?胃の不快感が続くのに異常なしと言われた方へ

機能性ディスペプシア(きのうせいでぃすぺぷしあ、FD:Functional Dyspepsia)は、胃の不快感・痛み・もたれ感・早期満腹感などの症状が続くにもかかわらず、胃カメラや血液検査では明らかな原因(潰瘍・がんなど)が見つからない疾患です。「胃の調子が悪いのに検査では異常なし」という結果に戸惑った経験がある方も多いのではないでしょうか。

機能性ディスペプシアは決して「気のせい」ではありません。胃の運動機能や知覚の異常、ストレス・生活習慣などが複雑に絡み合って症状が起きる、れっきとした疾患です。当院では、消化器専門医の視点から丁寧な診察と適切な治療方針をご提案しています。

機能性ディスペプシアとはどんな病気か

機能性ディスペプシアとは、胃・十二指腸に明らかな器質的病変(潰瘍・炎症・腫瘍など、形の変化)がないにもかかわらず、慢性的な胃の不快症状が続く状態をいいます。2006年に改訂された国際基準「RomeIII」以降、独立した疾患概念として世界的に認知されており、日本でも成人の10〜20%が罹患していると推定されています。

機能性ディスペプシアの主な症状

  • 食後に胃がもたれる感じ(食後愁訴症候群)
  • 少し食べただけで満腹になってしまう(早期満腹感)
  • みぞおちの痛み・焼けるような不快感(心窩部痛症候群)
  • 胃の膨満感・ガスが溜まる感じ
  • 吐き気・食欲不振

これらの症状が6ヶ月以上前から始まり、最近3ヶ月間継続している場合に機能性ディスペプシアが疑われます。症状の程度は日によって変動することも多く、ストレスの多い時期に悪化しやすい傾向があります。

なぜ「異常なし」なのに症状が出るのか

機能性ディスペプシアが起こる原因は複数あり、それらが組み合わさって症状が現れると考えられています。主なメカニズムとして、胃の運動機能の低下(胃排出遅延・胃の弛緩障害)、内臓知覚過敏(通常なら感じない刺激に過敏に反応する状態)、脳と腸の神経連絡の異常(脳腸相関)、ピロリ菌感染後の胃機能変化などが挙げられます。

胃カメラで異常なしでも診断できる

機能性ディスペプシアの診断には、まず胃カメラで潰瘍・がん・重篤な炎症がないことを確認することが前提となります。つまり「胃カメラで異常なし」という結果は、機能性ディスペプシアの診断に必要なステップです。
「異常なしと言われたのに症状が続いている」という方は、機能性ディスペプシアの可能性を改めて専門医に相談することをお勧めします。

機能性ディスペプシアの診断と検査

機能性ディスペプシアの診断は、症状の問診・胃カメラ・ピロリ菌検査・血液検査を組み合わせて行います。胃カメラで器質的疾患が否定されたうえで、症状の特徴・持続期間・生活習慣などを総合的に評価して診断します。

ピロリ菌との関係

ピロリ菌感染が機能性ディスペプシアの一因となる場合があります。ピロリ菌陽性の機能性ディスペプシア患者に除菌治療を行うと、症状が改善するケースが報告されています。そのため、機能性ディスペプシアが疑われる場合はピロリ菌検査も合わせて実施することが推奨されています。

機能性ディスペプシアの治療

機能性ディスペプシアの治療は、症状のタイプ・重症度・生活背景に合わせて個別に行います。薬物療法・生活習慣の改善・心理的アプローチを組み合わせることが基本です。

薬物療法

消化管運動機能改善薬(胃の動きを促進する薬)、制酸薬・胃酸分泌抑制薬、漢方薬(六君子湯など)、抗不安薬・抗うつ薬などが症状に応じて使用されます。一つの薬で効果が出ない場合は組み合わせを変えながら最適な治療を探していきます。

生活習慣の改善

食生活の見直し(脂肪分の多い食事・過食・早食いを避ける)、食後すぐに横にならない、規則正しい食事時間の確保、ストレス管理(適度な運動・睡眠・リラクゼーション)など、日常生活の改善が症状の軽減に有効です。機能性ディスペプシアは生活習慣と密接に関わっているため、薬だけでなく生活全体を見直すことが重要です。

「異常なし」と言われても諦めないで

「検査で何も見つからなかったから仕方ない」と症状を我慢し続けている方は少なくありません。しかし機能性ディスペプシアは適切な治療と生活習慣の改善によって症状を軽減できる可能性があります。また、症状が似ていても胃潰瘍・逆流性食道炎・胃がんなど別の疾患が隠れていることもあるため、定期的な胃カメラでの経過観察が安心につながります。

胃の不快感が続いている方、以前に機能性ディスペプシアと診断されたがうまく改善していない方は、ぜひ一度当院にご相談ください。

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