コラム

大腸カメラ検査

苦痛の少ない大腸カメラ検査に加えて重要となる、AIを活用した「より正確な診断」の追求

大腸カメラ(下部消化管内視鏡)を受けようとするとき、多くの方が気にするのは「痛いかどうか」「つらくないか」という苦痛への不安です。当院では鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査を提供しており、眠ったような状態で検査を受けていただくことができます。

しかし、大腸カメラで大切なことは「苦痛なく受けられる」ことだけではありません。ポリープやがんが見つかった後、「どう治療するか」を正確に判断することも、患者さんの生活の質に大きく関わります。昭和大学横浜北部病院消化器センターが発表した研究では、AIが大腸がんの治療方針決定に貢献できることが示されています。

大腸カメラ後の「治療方針決定」という課題

大腸カメラでポリープや初期がんが見つかった場合、内視鏡で切除すればそれで終わりになるケースがほとんどです。しかし問題になるのが「T1大腸がん」と呼ばれる、大腸壁の浅い層にとどまっているがんです。

T1大腸がんの10人に1人にリンパ節転移のリスクがある

T1大腸がんは内視鏡で切除できる早期がんですが、切除した後に追加の外科手術が必要になるかどうかの判断が難しいことがあります。その理由は、T1大腸がんの約10%にリンパ節転移(がん細胞がリンパ節に広がること)のリスクがあるからです。リンパ節転移がある場合は外科手術が必要になりますが、転移がない場合は手術せずに経過観察で済みます。

「念のため手術」という選択の重さ

現状のガイドラインでは、転移リスクが高いと判断された場合に追加手術を勧めていますが、この基準は完全とはいえません。転移が実際にはないのに手術を受けてしまう「過剰な手術」が一定数発生しています。手術はそれ自体が患者さんの体への負担となります。不必要な手術を避けるためにも、より正確な転移リスク判定が求められていました。

AIが「不要な手術」を21%減らす可能性

昭和大学横浜北部病院消化器センターが2023年に発表した研究では、T1大腸がんの病理スライド全体をAIで解析することで、リンパ節転移の有無を予測する新しいモデルが開発されました。

AIによる予測モデルの実力

この研究では、AIモデルの識別精度を示す指標(AUC)が0.74であったと報告されています。現行のガイドラインによる判定のAUCが0.52であることと比べると、AI活用によって大幅な精度向上が確認されました(AUCは1に近いほど予測精度が高い)。さらに、このAIモデルを使用することで、不要な過剰手術を21%削減できる可能性があることも示されています。

患者さんへの実際のメリット

この研究結果が示す患者さんへのメリットは明確です。転移リスクの判定精度が上がれば、「本当に手術が必要な方にだけ手術を勧める」判断が可能になります。必要のない手術による入院・回復期間・後遺症リスクを回避でき、患者さんの生活の質を守ることにつながります。

苦痛軽減と診断精度、両方を追求する大腸カメラ

大腸カメラ検査には2つの柱があります。一つは、鎮静剤や水浸法・CO2送気などの技術によって苦痛を最小限に抑える「検査の快適さ」です。もう一つは、AIや専門医の知見によって病変を正確に発見し治療方針を正しく判断する「診断の精度」です。

院長が持つ、論文に裏付けられた専門知識

当院の院長は、昭和大学横浜北部病院消化器センターで大腸がんのリンパ節転移予測に関する研究を行い、論文を発表してきた専門医です。内視鏡切除後に「追加手術が必要か」という難しい判断が求められる場面において、学術的なエビデンスに基づいた診断と患者さんへの適切な説明を大切にしています。

「苦痛が少なかった」で終わらない検査を目指して

苦痛なく検査が受けられることは非常に大切です。しかし「楽に受けられたが何も見つからなかった」より「正確に診断され、最適な治療方針を示してもらえた」が本来の目標です。苦痛軽減と診断精度、この両方を追求することが当院の大腸カメラ検査の姿勢です。

当院の大腸カメラ検査

当院では、苦痛軽減への取り組みと診断精度の向上を両立した大腸カメラ検査を提供しています。

  • 鎮静剤使用による苦痛を抑えた検査(眠ったような状態で受けられる)
  • AI搭載内視鏡(CADe)による見落とし防止
  • 大腸がんリンパ節転移予測の論文実績を持つ専門医
  • 日帰りポリープ切除(コールドポリペクトミー)に対応
  • 日曜日の内視鏡検査も実施

大腸カメラ検査について不安なことや疑問があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

045-253-2112 09:00~12:00/15:00~18:00