コラム
「逆流性食道炎」は薬だけでは治らない?胃カメラで食道がんリスクをチェック
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで食道の粘膜に炎症が起こる疾患です。胸焼けや酸っぱい液が喉まで上がってくる「呑酸(どんさん)」などの症状が特徴で、日本でも近年患者数が増加しています。プロトンポンプ阻害薬(PPI)をはじめとする薬物療法で症状は改善しやすい反面、「薬を飲めば大丈夫」と安心してしまい、根本的な治療や定期的な検査を怠るケースも少なくありません。
逆流性食道炎の怖さは、症状が落ち着いても食道の粘膜ダメージが続く場合があること、そして放置すれば「バレット食道」を経て食道がんへと進展するリスクがあることです。当院では、AI搭載の内視鏡と院長の豊富な消化器専門医としての経験を活かし、食道の状態を精密に確認する胃カメラ検査を提供しています。
逆流性食道炎とはどんな病気か
逆流性食道炎とは、本来は胃に留まるべき胃酸や胃の内容物が食道に逆流し、食道粘膜が傷つく状態をいいます。健康な状態では、食道と胃の境界にある下部食道括約筋(LES)が弁のように働き、胃酸の逆流を防いでいます。しかしこの括約筋の機能が低下したり、胃内圧が高まったりすると、胃酸が逆流しやすくなります。
逆流性食道炎の主な症状
逆流性食道炎で多く見られる症状は以下のとおりです。
- 胸焼け(胸がジリジリ・ヒリヒリする)
- 酸っぱい液が喉まで上がってくる(呑酸)
- 食後や横になったときに症状が悪化する
- 喉に違和感がある・飲み込みにくい感じがする
- 慢性的な咳・声のかすれ
- 胸の痛み・圧迫感
これらの症状は食後しばらく経ってから現れることが多く、就寝中に悪化するケースもあります。「胸が痛い」という訴えが心臓疾患と区別しにくい場合もあるため、自己判断せず専門機関での診察を受けることが大切です。
逆流性食道炎が起こりやすい原因
逆流性食道炎の背景にはさまざまな要因があります。食生活の欧米化(高脂肪食・過食)、肥満、加齢による括約筋の衰え、姿勢の悪さ(前かがみの姿勢が多い)、喫煙・飲酒、ストレス、妊娠などが主な誘因です。また、「食道裂孔ヘルニア」という胃の一部が横隔膜より上に押し出されてしまう状態が合併していると、逆流が起こりやすくなります。
薬だけでは根本的に治せない理由
プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーなどの制酸薬は、胃酸の分泌を抑えることで症状を和らげるのに効果的です。しかし薬はあくまで「症状をコントロールする」ものであり、逆流そのものの原因(括約筋の機能低下・食道裂孔ヘルニア・生活習慣)を根本から解決するわけではありません。
再発しやすい疾患である
逆流性食道炎は再発率が高い疾患です。薬で症状が改善したからといって自己判断で服薬をやめてしまうと、数ヶ月以内に症状が再燃するケースが多く見られます。食生活・体重・姿勢・ストレスなどの生活習慣を見直さずに薬だけで対処し続けると、慢性的な再発を繰り返す「慢性逆流性食道炎」になりやすくなります。
症状がなくても炎症が続くことがある
薬を飲むことで胸焼けなどの自覚症状が消えても、食道粘膜の炎症・ダメージが完全に改善しているとは限りません。「症状がなくなった=治った」とは言い切れないのが逆流性食道炎の難しさです。粘膜の状態を確認できるのは胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)だけであり、定期的な内視鏡での評価が重要になります。
バレット食道とは?食道がんへのリスク
逆流性食道炎を長期間放置したり、治療が不十分なまま慢性化させたりすると、食道粘膜が胃の粘膜に似た「バレット上皮(バレット食道)」に変化することがあります。バレット食道は食道腺がんの前段階として知られており、通常の食道粘膜に比べて食道腺がんの発生リスクが高まります。欧米では食道腺がんの主要なリスク因子として認知されており、日本でも患者数の増加とともに注目されています。
バレット食道の特徴と注意点
バレット食道は自覚症状がほとんどありません。「胸焼けが最近少なくなった」と感じていても、実際には食道粘膜が変性してしまい症状を感じにくくなっているだけ、というケースも報告されています。そのため、症状が軽快したからといって「もう大丈夫」と油断するのは危険です。バレット食道の診断には胃カメラによる内視鏡検査と生検(組織の一部を採取して調べる検査)が必要です。
食道がんとの関連
食道がんには大きく分けて「扁平上皮がん」と「腺がん」の2種類があります。逆流性食道炎・バレット食道と関連が深いのは食道腺がんです。食道がんは早期に発見できれば内視鏡的な切除が可能ですが、進行してから発見されると治療が複雑になります。自覚症状が乏しい早期のうちに発見するためにも、定期的な胃カメラ検査が食道がん予防の重要な手段となります。
胃カメラで何が分かるか
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、細いカメラを搭載した内視鏡を口(または鼻)から挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察する検査です。逆流性食道炎の診断や経過観察において、胃カメラは欠かせない検査です。
胃カメラ(上部消化管内視鏡)で確認できること
胃カメラでは食道粘膜の炎症・びらん(ただれ)・潰瘍の状態を直接目で確認できます。逆流性食道炎の重症度を「ロサンゼルス分類」に基づいて評価し、適切な治療方針を立てることが可能です。また、バレット食道の有無・範囲、そして食道がんの早期病変(見た目では分かりにくい微小な変化)まで精密に観察できます。
さらに、必要に応じて生検(組織採取)を行い、病理検査でがん細胞の有無を確認することもできます。画像だけでは判断しきれない変化も、組織検査によって正確に評価が可能です。
当院の胃カメラ検査の特徴
当院では、AI画像解析システムを搭載した高性能内視鏡を使用しています。AIが微小な病変の検出をサポートするため、見落としリスクを低減した精度の高い検査を提供しています。また、院長は昭和大学横浜市北部病院消化器センター(WEO認定国際的優良施設)での豊富な内視鏡経験を持ち、食道病変の見極めに精通しています。
「胃カメラは苦しそう」というイメージをお持ちの方も多いですが、当院では希望者に鎮静剤(静脈麻酔)を使用することで、眠っている間に検査を終えることができます。検査中の苦痛を最小限に抑えるよう配慮しており、検査を受けた方から「思ったより楽だった」というお声を多くいただいています。
こんな方は胃カメラ検査をお勧めします
逆流性食道炎に関連して、以下に当てはまる方は一度胃カメラで食道の状態を確認することをお勧めします。
- 胸焼けや呑酸の症状が3ヶ月以上続いている
- 胃酸を抑える薬を飲んでいるが症状が繰り返す
- 症状が軽くなったが、食道の状態を一度きちんと確認したい
- 逆流性食道炎と診断されてから1年以上、胃カメラを受けていない
- 喉の違和感・慢性的な咳・声のかすれが続いている
- 家族に食道がん・胃がんの方がいる
- 肥満・喫煙・飲酒の習慣があり、胸焼けが気になる
これらの症状や状況に当てはまる方は、症状が軽くても油断せずに受診されることをお勧めします。
逆流性食道炎の治療と生活習慣の改善
逆流性食道炎の治療は薬物療法と生活習慣の改善の両輪で進めることが大切です。薬は症状を抑える大切な手段ですが、生活習慣を見直すことが再発防止には欠かせません。
生活習慣の改善ポイント
食後すぐに横にならない、寝るときに上半身をやや高くする、食事は腹八分目を心がける、脂肪の多い食事・チョコレート・コーヒー・アルコールを控えるなど、日常生活の中で実践できることが多くあります。肥満がある方は体重を適切に管理することも、逆流性食道炎の改善に有効です。
生活習慣の改善と適切な薬物療法を組み合わせることで、再発を抑えつつ食道粘膜を健康な状態に保つことが期待できます。当院では患者様一人ひとりの生活背景に合わせた具体的なアドバイスを行っています。
当院で胃カメラ検査を受ける流れ
当院の胃カメラ検査は、WEB予約から結果説明まで一貫して対応しています。まずはWEB予約フォームから検査の予約を行ってください。予約後、検査前日から当日の食事制限・注意事項をお伝えします。当日は問診・説明→前処置→検査(約10〜15分)→回復→結果説明の流れで進みます。鎮静剤を使用した場合は回復のため検査後30〜60分程度お休みいただきます。
検査結果は当日中に画像を見ながら詳しくご説明します。異常が見つかった場合は、次のステップ(生検・治療方針・高度医療機関への紹介など)についてもわかりやすくお伝えします。「検査の結果をその日に聞けて安心した」というご意見を多くいただいています。